ご挨拶


教授 栖原敏明
 本研究室では、光通信・光情報処理・光メモリ・光計測技術の将来の発展に貢献することを目的として、先端的な集積光電子デバイスの研究を行っています。レーザをエレクトロニクスと融合することにより新たな技術的可能性を拓く光エレクトロニクスの分野は、既に光ファイバ通信や光ディスクなど身近となった技術を含めて顕著な発展を遂げ、現在の電子工学の中核的領域のひとつとなっています。一方、光を量子論的に光子(フォトン)として捕らえると、工学的に活用されているのは特質の一部に過ぎず、十分に解明されていない学問的に興味深い問題や未開拓な多くの応用可能性が残されています。また、この分野は高度情報化社会において更なる技術革新が継続的に求められている必要性の極めて高い技術分野です。
 電子デバイスの限界を超える高性能や新機能をもつ実用的な光電子デバイスを実現するには集積化技術が極めて重要であることは言うまでもありません。本研究室はこの観点から長年にわたり集積光デバイスの研究を行ってきました。様々な分野の具体的応用をもつ種々の光集積回路、集積フォトニックデバイスを考案し、理論解析・設計を行い、可能性を実証することを目的と究を行っています。独自開発の装置を含めて多くの作製装置と実験・測定装置を保有しており、これらを駆使して大部分のデバイス作製プロセスや実験を本研究室内で行うことができます。
 現在の研究テーマは、導波型非線形光学デバイス量子構造・ナノ構造を用いた集積半導体レーザに重点を置いています。また、将来の量子情報通信・処理への応用を目指した探索的研究として、個々の光子の操作を可能にする”量子フォトニックデバイス”の理論的・実験的研究を推進しています。先端的・革新的なデバイスの実現と新規な応用の開拓により新世代の量子光エレクトロニクスを開くことを目指して研究に取り組んでゆきたいと考えています。