半導体導波路に活性素子と受動素子を集積したモノリシック光集積デバイスの研究を行っている。量子井戸レーザやグレーティング素子の設計・作製、量子井戸無秩序化によるバンドギャップ制御技術の検討などとともに、全集積干渉型変位センサ、光集積ディスクピックアップなど具体的応用のための高度な機能をもつ光集積デバイスの提案・設計・作製・評価を行ってきた。チャルマース工科大学との共同研究も行っている。
 現在研究中の集積半導体レーザのひとつは、DBRレーザ発振器とテーパ型パワー増幅器およびグレーティング結合器を集積したモノリシックMOPAレーザである。結合器のパターン設計により、平行ビームや集光ビームを出力するためのビーム整形機能を付加でき、また増幅器で生じる波面収差を補正できる。高出力・高コヒーレンスなレーザとして、非線形光学デバイス・光ファイバ増幅器の励起光源などへの応用が期待できる。曲線走査電子ビーム描画・イオンエッチングなどの技術で試作したデバイスでCW 183 mWの出力と回折限界に近い良好な平行出力ビームが得られている。
グレーティング結合器集積MOPAレーザ
 非線形光学デバイス励起光源としての応用では、高出力とともに発振波長制御が必要である。テーパ増幅器・グレーティング結合器集積デバイスとハーフミラーで構成した外部共振型可変波長レーザを提案した。結合器の波長分散を利用して波長可変特性を実現する。量子井戸を選択的に無秩序化して結合器領域の受動導波路損失を低減することにより、高出力化・可変波長域拡大を図っている。良好な平行出力ビームが得られ、21 nmの波長チューニングが達成できた。両方のデバイスの高出力化と波長域の拡大、さらに高度な機能の実現をめざして検討を続けている。
集積化外部共振型波長可変レーザ